2005年09月18日

きみの処方箋:月村奎



<あらすじ>
父を知らずに育った智朗は、たった一人の家族だった母を亡くして伯父の家に引き取られた。けれど頑固な伯父とは衝突してばかりのうえ、従兄の克巳からは屈託もなく言い寄られ、智朗は早くこの家を出て独り立ちしたいと思っていた。ところが、心臓の病にも負けずに明るく見えた克巳には、実は智朗が思いもよらぬような秘密があり…。きみを守りたい、そして癒したい―あの名作が、書き下ろし短篇とともに甦る。
高校生×高校生モノ。

もともと白泉社の花丸文庫から1997年に出版されていたものを、書き下ろしを加えて、新書館ディアプラス文庫から復刊。
たしか花丸版を発売当時読んでたんですけど・・・なんか記憶とずいぶん違う気が。
こんな子でてきたかな〜?とか、えっちしなかったんだっけな〜?(笑)とか、そんなことばかり考えてて、懐かしさに浸るというより、自分の記憶力との戦いのような読書でした(笑)
克巳が、心臓が悪いのに、元気な子っていうのは覚えてたんですが、それ以外のことがもう全然覚えてなくて、妙に新鮮で・・・。
これは、花丸版をもう一度読むしかないな!と。(こういうことするから、本棚が大変なことに・・・)





この作品、結構意外だったのが、主人公が攻めの智朗だったこと。
月村さんの書かれるお話をものすごく大ざっぱに説明しようとすれば、トラウマに捕らわれた受けが、素敵な攻めに救われて、ハッピーエンド。
このパターンが多い中、逆なんですよね、このお話。
身体は弱いけど、心の元気は有り余ってる克巳が、身体は元気だけど、心にたくさんのものを抱え込んでる智朗を、いろいろなものから解放してくれる。そんな感じでしょうか。
克巳は、本当にいい子です。心臓に病気抱えているからといって、卑屈になることも投げやりになることもめそめそすることもなく、超がつくほどのポジティブシンキングの持ち主。
がまんして長く生きるより、やりたいことたくさんやって短くてもいいから生きたいと、まわりの方が心臓が止まりそうになるようなことを平気でやってしまう。
そんな、イトコに振り回されてしまうのが、智朗。
無愛想で、ぶっきらぼうで、ひとに優しく接するなんてできなくて、自分にも優しくできない子。
そのくせ、克巳には、しっかり振り回されて、イヤだといいつつも世話を焼いてしまってる。
彼には生まれた時から父親がいない、そのことがずっと彼の心に影を落としている。
どこの誰だかわからず、どんな人物かもわからない父。
固く口を閉ざして決して父のことを話さなかった母の態度から、父親が犯罪者なのかも知れないと考えてしまう。
そんな生い立ちだからと、うしろ指さされるようなことにだけはしたくなくてがんばってしまうけれど、やっぱりあんな親の子だからと諦めてしまったり。
そして、両親もいて、恵まれてるからそんな風にいられるんだと、克巳にあたってしまう。
智朗自身、言ってもしょうがないことだとわかってるし、克巳が悪いわけじゃないって十分わかってるから、それでまた自己嫌悪。
・・・だんだん、腹立ってきてしまいました(笑)
智朗の両親に。
子供にいったいどんなモノを残していってしまったんだと。
親になる前は、ただの男と女だったんでしょうけど、責任のとれないことはしてはいけません、葛西先生も言ってましたよ。
智朗は、いい友達や新しい家族や、そして克巳に囲まれて、自分の力でそこから抜け出すことができたけれど、できなかったらどうしてあげたらいいんですか。
あああ、また架空の人物にむかついてしまった・・・。

ところで、この二人って、一目ぼれ。
しかも同じタイミングで。
意味もなく謝ったり感謝したりしない智朗の態度に魅かれた、克巳。
克巳の臍(笑)にすっかり悩殺されてしまった、智朗。
お互い自分がマイナスに感じてる部分なのに、相手からいいって想われてるって、なんかいいなあと。
すえながく、穏やかに(笑)らぶらぶでいてほしいものです。

ところで、この本、表紙めくって最初のカラーイラストが、なかなかのエロ(笑)なんですけど、ストーリーの中に全くえっちはありません。
おかしいなあ、私の記憶によれば・・・(以下略)。

posted by 棗 at 21:11| Comment(2) | TrackBack(1) | BL(小説)>月村奎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すいません、調子のってTBもしちゃいましたσ(^_^;

花丸版発売当時から読んでいたなんて、スゴいです☆
私の方はいつものごとく大したこと書いてないので、このように丁寧に書かれてあるのを読むと羨望の思いと共に自分のブログ思い出して軽く凹みます(苦笑)
Posted by 美鳥 at 2005年09月30日 01:17
美鳥さん、こんばんは!
いえいえ、こちらこそ、コメントとTBありがとうございます♪

>花丸版発売当時から読んでいたなんて、スゴいです☆
ぎゃああ、年がバレる〜(笑)いや、いいんですけどね・・・。
結局、花丸版買い直したんですけど、私の記憶はずいぶん間違ってました・・・。
多分、えっちがなかったからこそ、記憶が薄れたんでしょう(笑)

丁寧・・・でしょうか?
自分では、くどいのではないかと思ってるんです〜(笑)


Posted by 棗 at 2005年10月01日 00:10
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月村奎さん 「きみの処方箋」
Excerpt: 好きです、月村さーん!<告白タイムか; 今回のオススメも月村奎さんで「きみの処方箋」です。 こちらの作品も「エンドレス・ゲーム」同様、以前に白泉社ノベルズから出版され??
Weblog: 美鳥の日記
Tracked: 2005-09-30 01:06