2019年01月13日

王たちの蹶起 叛獄の王子3:C・S・パキャット



「生きていた。王の御子が生きておられた。デイミアノス」正体が明らかになった今、デイメンはローレントに自分こそ彼の兄を殺した仇であるという真実を告げなければならない。だが約束の場所、シャルシーにローレントは現れなかった。その頃ローレントはグイオンの手に落ち、地下牢に囚われていたのだ。そして目の前には彼を憎むゴヴァートの姿がー。ヴェーレとアキエロスの戦力をたばね、王子たちは執政の企みから母国を守ることができるのか。そしてふたりの思いと運命の行方はー!?叛獄の王子三部作、ついに完結!




畳まれてはじめて、広げられた風呂敷が思ってたよりずいぶん大きかったことに気付く。
そんな三部作。



物語はデイメンの目線で語られていて、しかも彼はある意味純粋で正直な人。
駆け引きや策略といったものから縁遠いまっすぐな人故に、彼の気持ちは全身からあふれている。
それこそが、デイメンがデイメンである証であるように。
そして一方のローレントが、その美しい顔の内側に隠しているものが何ものであるかは、饒舌には語られない。
感情など持たず、表情も変えない、常に一歩二歩どころか百歩先まで見据えているのではないかと思うほどの知性もそなえ、人ではないと思わせるほどの存在にも思える。
そうやって、ローレントは、”ローレント”という人物像をうまく演じている。
誰も寄せ付けず、心を殺し、ローレントとして生きていくことこそが、王宮で生き残る術だった。
本当のローレントの姿を知るのは、デイメンだけ。

そのデイメンの正体を知ってしまったら、ローレントはどうなってしまうんだろう、デイメンもどうするんだろうと、その緊張感に自分が一番落ち潰されそうになりながらも読み進めた。
ローレントの反応には驚かされはしたけれど、ある意味すごく腑に落ちる。
やっぱりローレントだ、と。
そんなデイメンが何物であるかを知りながらも、自分の気持ちを抑えられないローレントと、己の過去を知りつつもローレントを求めずにはいられないデイメン。
国というとても大きなものが動いているこの瞬間でも、ローレントもデイメンも、ただ一人の人間でしかない。
だからこそ純粋にただ相手を求めあう行為がこうもいとしいんだろう。




パキャットさん、大好きだ!!!
と声を大にして言いたい。
それくらい素晴らしい物語を読ませてもらいました。
この勢いで、短編もぜひ翻訳されますように。


叛獄の王子1の感想
叛獄の王子2の感想
posted by 棗 at 09:12| Comment(0) | 翻訳BL>C・S・パキャット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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