2005年06月20日

砂漠に花を咲かせましょう:菅野彰


砂漠に花を咲かせましょう―東慶大学付属長野高校シリーズ〈第1話〉 (ビーボーイノベルズ)

砂漠に花を咲かせましょう―東慶大学付属長野高校シリーズ〈第1話〉 (ビーボーイノベルズ)

  • 作者: 菅野 彰
  • 出版社/メーカー: 青磁ビブロス
  • 発売日: 1995/11
  • メディア: 単行本




<あらすじ>
最近ノイローゼ気味で、人の声が聞こえなくなっている八雲純は、名門東慶大学付属長野高校の二年生。
ある日学校に行けず、河原でぼんやりしていると、ペコちゃんのお面をかぶった向坂というテロリストに誘拐されてしまう。
声が聞こえないはずの純だったが、なぜか向坂の声だけはきちんと聞こえ・・・。


菅野さんの、初期の作品です。
この「砂漠に花を咲かせましょう」というタイトルが気になってて、ずっと読みたいなと思ってた作品。
一応BBNから出てるのでBLではあるんですが、どちらかといえば「屋上の暇人ども」のシリーズみたいな青春小説のような感じです。
なんてったって、主人公そっちのけで、自衛官とテロリストだけがラブラブですから・・・。(笑)
しかし、こういう学生時代の先の見えない不安とか葛藤とか、漠然とした悩みみたいなのを書かせたら、菅野さんって最強・・・。
だから、この方の書かれる小説って、大好きなんですけど。







純の父は、いわゆる悪い政治家センセイで、いろいと利権の絡んだゴルフ場建設を強引に推し進めようとしてありとあらゆるところから恨みを買っていて、その中のひとりが過激派環境団体「砂漠に花を咲かせましょう」の白百合薫(笑)こと向坂。
この向坂に関わる事で、純が少しずつ変わっていく。
純には、悪徳代議士の父と反発して左翼に走った長男・保、そして突然純の前から消えてしまった次男の望、二人の兄がいた。
いなくなってしまった二人のかわりに、三男の身の上でありながら、父の跡を継ぐものと決めつけられてしまった人生。
逆らう事を知らず、声を上げる事もできず、ただまわりの声を聴かない事で、自分を守ろうと必死になりながら、誰かに助けを求めたくて、出した一通の手紙。
彼の心のよりどころでありながら、初恋の人でも在る、山田真美子。
少しずつ望の進んでしまった道を歩もうとしている純を、とどめてくれた、存在。
この頃の悩みなんて、きっと後で思い返せば、些細な事だったりするのかもしれないけど、そのど真ん中にいる者にとっては、どうしていいかわからないほど辛いこと。
きっと向坂は純にむかしの自分を見つけてた。
どうしたらいいのかわからない状況に陥って、あらがう術を知らなくて、でも一生懸命だったころの自分。
向坂のやってることを正しいと肯定してあげることはできないけど、その時向坂の見つけた、自分が自分であるための方法が、結局これだった。
だから純も、自分で歩くべき道を自分で決めれるはず。

どうでもいいんですけど、当時から菅野作品では恒例(笑)の「ミクロンちゃん」が登場してます。
一体、初出はいつなんでしょう。

ところで、「東慶大学付属長野高校シリーズ〈第1話〉」って表紙にあるのがすごく気になるんですけど・・・。
そういえば「HARD LUCK」とか「モダン・タイムス」とかも。
どうなってるんでしょうか・・・。



posted by 棗 at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>菅野彰 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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