2015年01月24日

言ノ葉ノ使い:砂原糖子

4403523595言ノ葉ノ使い (ディアプラス文庫)
砂原 糖子 三池 ろむこ
新書館 2014-08-09

by G-Tools

生まれつき人の“心の声”が聞こえるカンナは、ずっと誰かの役に立ちたいと思っていた。ある町で心の中まで寡黙な男・ガクタと出会う。大怪我を負っていた彼が洩らす『痛い』という心の声を放っておけず、世話を焼くカンナ。最初は鬱陶しそうだったガクタもそれを受け入れ始める。だが彼がヤクザだと知っても変わらないカンナの態度に、下心があると誤解したガクタが手を伸ばしてきて…?大人気シリーズ第3弾!!




雑誌で読んでたので、程よく記憶が薄れてからと思ってたらこのタイミングとなってしまいました。



「言ノ葉ノ花」「言ノ葉ノ世界」と、心の声が聞こえる主人公たちのこのシリーズも3作目ですね。
もうないのかなあと思ってましたが、また読めて嬉しかったです。

今作の主人公・カンナは、今まで出てきた主人公たちの中で、一番能力について前向きに受け止めているキャラでした。
生まれながらにして持った力を、一番の理解者である母親と共有していたという点が一番大きかったのかな。
他の二人は、悲しいことにまわりに同じ力の持ち主がいなかった。(でも最大の理解者には巡り合えたけれど…)
カンナも、その最大の理解者であった母親を、辛い失い方をしています。
だからこそ、自分の持った力を誰かのために使いたいと願ってます。
そんなカンナが出会ったのが、訳あり気な男、ガクタ。
同じアパートの隣人で、最初の出会いからとにかく不穏な空気を纏わせている男、でもその心が、ある日の母と同じようで気になってしまう。
カンナは人一倍他人を気にかける人で、自分を犠牲にしてでも、他人を助けてしまうところがあるような人で、それをすばらしい、とは片づけられないかな…。
誰かを助けることで、別の誰かが見えないところで犠牲になってるわけだから。
とはいえ、カンナはそうやって生きてきたわけで、ガクタに対しても自分を犠牲にしてでも何とかしてあげたいと思っている。
ただ、その過程で、二人の関係は随分と思い掛けない方へと転がって行くわけですが…。
ところで、そのガクタ、彼はすごく不思議な男です。
ヤクザの犬みたいなことをやってて、それこそ自分の命削るようなマネばかりしてて、ある意味、カンナと似た部分があったりします。
ただその根本が違うというだけで。
ガクタはそのたった一人のためだけに命を投げ出す覚悟があって、カンナはその瞬間ご縁のあった誰かのために何かをして。
最初、読んでて二人のタイプの違いに、どうなの?って思ったりもしたけれど、全く違うってわけでもないんですよね、この人たち。
そして、ガクタも今までこのシリーズに出てきた、心を読まれてしまう側の人のなかで一番前向きにとらえてる人。
寧ろカンナ自身が、自分の心を読まれたらって考えたときに、イヤだって感じてしまうのに、ガクタはそういうのが一切ない人。
自分が口下手なこと自覚してるだけに、考えたことを口にしなくてもつたわるなんて便利だなで片づいちゃう。
そういう居心地のよさ、ガクタはずっと求めてたんじゃないかな。
ずっと身を置いてた場所が場所なだけに。

ところで、カンナの博愛精神はすごいものがあって、いきあたったところに悩みがあればそれに寄り添い力をつくす、そんなすごい精神に溢れた彼だけど、ガクタのために、それこそなりふり構わず走ったところはすごくよかった。
不特定多数の中の一人じゃなくて、ガクタはガクタとして自分の中できちんと存在する唯一無二の人なんだよね。
そんなカンナだから、ガクタもその気持ちにすごく応えてくれてるんだよね。
優しくしよう、大事にしようって。
今回書き下ろし部分を初めて読んだわけですけど、すごく良かった。
うん、この二人いいよ。
雑誌で読んだ時よりずっとこの作品好きになった。

posted by 棗 at 20:38| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>砂原糖子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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