2007年05月03日

最後のテロリスト 1〜胎動〜:谷崎泉

最後のテロリスト 1
谷崎 泉著
二見書房 (2007.5)
ISBN : 4576070614
価格 : \580
通常24時間以内に発送します。


<あらすじ>
威士は関西に拠点を置く興津組の金庫番・菅生洋三の息子で、本人の意思と関わりなく次代の幹部候補と目されている。そんな威士が謎の生い立ちを持つ青年・蓮の看病を言いつけられる。頭部に予断を許さない傷を残す蓮だったが、威士は次第にその怜悧さと陰のある魅力に気づかされていく。そして、同時に堅気の世界に住む大学生・凪と出会う。凪は日々抗争にさらされる威士に安らぎをもたらし恋情をかき立てるが……。宿命によって安穏とした生き方を許されない男たちの、いびつで一途な愛を描く三部作第一弾、威士編!


相性がいいのか、悪いのか。
ツボなのか、そうじゃないのか・・・。
自分の中でイマイチ掴み切れない(笑)谷崎泉さんの新刊です。
なのになぜ今回買おうと思ったのか?
・・・スイマセン、表紙に一目ぼれしました。
昨今のBL界ではめずらしく、(谷崎泉さん的にはめずらしくもないかも・・・)、オトコひとりの表紙。
しかも、中のカラー口絵も、凪ひとり(服着てる)。
・・・なんて書店で買いやすい本(笑)いや、ネットで買いましたけど。
しかも、萌えの中の萌え!
三ヶ月連続刊行の全三部作ということなので、ふふふ楽しみ楽しみ。


ヤ○ザに片足つっこんでる威士と、普通の大学生の凪。
生まれた家も、育った環境も、見た目も、性格も、なにもかも正反対の二人。
接点が見つけだせそうにない二人なのに、ある偶然によって出会ってしまう。
訪れた病院の廊下で。
お互いに、自分にはないもの相手が持っていることを感じ取ってしまう。
そして、世界中どこにも見つけられなかった、安息の地をお互いの中に見いだしてしまう。
でも、その時は、それだけで。
出会うべくして出会った二人は、三年という時間を置いて、再び出会うことになる。
ただ、前とは違い、状況は一変していた。
二人には関係のない家の事情に振り回され、気がつけばその渦中に。
だからこそ、ふたりはただ求めあって、ようやく心を通わせることに。

ヤンチャのすぎる猛犬と、優等生な姐さん女房・・・。
そんな全く正反対の二人が、ただただお互いを求めあうっていうのが、なんか好きなんです。
しかも、それが好きになってはいけない相手だった、っていうのが、また・・・。
萌えた(笑)
ヤ○ザに片足つっこんでるような威士、確かに猛犬のような男ではあるんです。
見かけからすでに、ケンカ売ってような感じだし、ちょっと前まで少年院にお世話になってました♪という状態。
でも、威士の怒りの矛先は、自分の身内と決めたものに対して向けられた、不当な力だったり暴力だったりで。
誰彼構わず牙をむくんじゃなくて、自分の正義こそが絶対なんですよね。
だからこそ、威士には、彼を慕っているものがまわりにたくさんいて。
元来もつカリスマ性っていうのもあるかもしれないけれど、そういうまっすぐさというのが、誰もが惚れ込んでるんだと。
組のやつらといい、家族といい、蓮といい。
それをまた本人もまったく気にしてないというか、わかっていないというか・・・。
そういうところがますます彼を人気者にしてしまう要因ではあるんですが。
一方の、凪。
国立大学に通う極普通の学生、でもその複雑な出生ゆえに、彼のまわりには人があまりいません。
家族の縁が薄く、唯一の家族である母親も病気で入退院の繰り返し。
そんな状況で、いつだってひとり。
彼に接触してくるのは、その特殊な事情からうまれたつながりだけ。
彼を心底気にしていてくれるのではなく、凪を通してそのむこうにある存在のためだけ。
二人とも、生まれた家は確かに特殊で、ある意味生まれた瞬間からその将来へ続く道が決まっていた、そんな状況。
そんな威士と凪が、出会って、心の底から笑いあえるようなかけがえのない存在になり、一緒にいることを選んで。
それでも、しがらみだけはどうしても捨てられなくて。
二人が一緒にいたからこそ起こってしまった悲劇。
あの時、図体ばかり強靭な威士が、本当に心の成長をみせた時でもあったと思うんです。
何度も何度も、凪のために「守る」という言葉を口にしてた威士。
きっとその身を守るという意味から、その身も心も全部丸ごと守るという意味に変わったように思えました。
そのために、威士は、目の前に敷かれてたレールを、自らの選んだ方法で歩いていくことに。
凪と、蓮と。

で、蓮。
不思議な出会いをしたのは、凪と威士だけじゃなく。
蓮と威士も。
威士にとって、凪が愛すべき存在で、人生において必要なパートナーであるように、蓮も手放すことのできない存在。
突然、養子となって自分の弟となった蓮。
彼もまた、自分と同じ裏の世界を生きる人間。
けれど役割としては、正反対で。
威士が日の当たる場所にいれば、その影を行くのが蓮。
血のつながり以上の存在になった二人も関係も、甘さはないけど目が離せません。
しかも蓮もまた、凪に弱いっていうのが、なんかいいんですよね・・・。
やっぱり凪って、天性の猛獣使い(笑)

それにしてもです。
いつものことながら好きな作品の感想って変に力入り過ぎて、あとでがっくりってなるんですよね・・・。
2巻は、蓮の話だということなので、ますます力がこもってしまいそうです・・・。
暑苦しいだろうなあ(笑)
しかし、蓮って、どっち〜。
・・・受希望です、個人的には(笑)





posted by 棗 at 21:45| Comment(2) | TrackBack(1) | BL(小説)>谷崎泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは、棗さん!
私も遅ればせながらこの作品を読んで感想を仕上げましたので、TB頂きにあがりました。
棗さんの熱い記事が、眩しいです(笑)。
私は自分の感想では、威士についてはあまり深く立ち入らなかったのですが、棗さんもおっしゃっているように、己の正義を貫くためには暴力も厭わない猛犬気質とはいえ、キャラが立っていて魅力的でしたよねー。
そして、確かに凪の猛獣使いぶりもスキルが高い(笑)。
凪は芯が強いので、この物語で実は最強キャラなんじゃないでしょうかね?

それにしても、またも続きが気になって仕方ありません!
早く次のお話が読みたいです。
ではでは!
Posted by tatsuki at 2007年05月09日 23:58
tatsukiさん、こんばんは。

お恥ずかしいです。
年甲斐もなく、取り乱しましてます(笑)
おかげで、感想という名の、アホ丸出しの文章をつらつらと。
文章の長さが、萌えに比例してますね(笑)
実は、この本の感想を、ちっとも見かけなかったので、「もしかして人気ないのかな〜」と、秘かに心配してました・・・。
だからこそ、余計に暑苦しい感想になったんですよね。
・・・その情熱を、仕事に生かせればいいのに(笑)

>凪は芯が強いので、この物語で実は最強キャラなんじゃないでしょうかね?
BLにおいて、最強キャラは、いつでも受けちゃんですよね。
そう思うと、攻めがだらしねー、とか思っちゃうんですが、威士はあんがい私の中ではいいセンいってるなーと思ってます。
ホントにいいキャラですよね。
彼らがこれからどのように成長していくのか、すっごい楽しみですよね。
三ヶ月連続刊行、バンザイですね(笑)

TB&コメントありがとうございました!


Posted by 棗 at 2007年05月10日 21:14
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Excerpt: 谷崎泉さんの小説は、その特徴を十分に頭で理解しているつもりなのに、つい買ってしまいます。 つまり、所謂分かっちゃいるけどやめられない作家さん…基本的には大好きなんですけどね…。 今回の作品も伏線が..
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Tracked: 2007-05-09 23:43