2007年03月21日

Release:月村奎



<あらすじ>
一流大学を卒業し、一流企業に入ったものの、慣れない営業で大失態をおかし、都落ちするハメになった安西啓介。
そんな彼を誘ったのが、喫茶店を経営する中学時代の同級生、奥村律。
彼は、安西が極度の接触嫌悪症になってしまった事件を知る、唯一の人物でもあった・・・。
喫茶店オーナー×元営業モノ。


祝「WISH」復活。
そして、是非とも、他の作品も新装版でよろしくお願いします、新書館様。
ということで、好きだ好きだと騒ぎつつも、感想書いてなかった、月村さんの初期の名作「Release」。
今回、Releaseの単語の意味、あらためて調べたんですが(お、遅い・・・)ですが、解放するとかいう意味なんですね。
まさに、過去の呪縛からの解放。




私の中で、「JUNE」でも「BL」でもない位置づけのものがあって。
まさに、この作品がそう。
じゃあ、何って説明できないのが、悔しいです。
そもそも「JUNE」がこれで、「BL」がこれ、という明確な定義づけすらできないんですが・・・。
まあ、私の青春時代を彩った、素敵な作品であることには変わりありません(笑)
月村さんの作品、多分これが初買い作品で、これでハマったような記憶が・・・。


都落ちネタ好きだなとは思ってましたが、おそらくルーツはここ(笑)
一流大学卒、一流企業の営業、エリート街道まっしぐらだったはずの安西が、そんなものすべてを手放して、地元に帰ってくるハメになったのは、同級生の奥村の言葉のせい。
極度の接触嫌悪症の安西は、全くといっていいほど営業には不向き。
そんな日々に鬱々としていたときに、久しぶりの同窓会に顔を出す。
そこで出会ったのが、奥村。
その後、得意先の前で大失態をおかしへこんでいたところに、連絡をとってきたのが奥村で、自分のところで働かないかと、転職の誘いをかけてくる。
当然断る安西に、あの時の証拠をまだ握ってると脅され、仕事の失敗もあり、地元に戻ることに。

安西は中学時代、美術教師に性的ないたずらをしかけられ、段々とエスカレートしていったところ、奥村に助けられたという、辛い過去があって、それが原因で接触嫌悪症に。
そんな過去が染みついてる場所、そしてそれを知ってる人物。
否応無しに、過去と向き合わなくてはならなくなった安西。
奥村は、あんな誘い方をしておきながら、それをネタに脅すわけでもなく、変に気を使うわけでもなく、日々は過ぎていく。
そして高校時代の友人の森や、その幼なじみの喜多村と、過ごしていくうちに、最悪だった体調だけはよくなっていた。
心に受けた傷だけは、どうしてもそう簡単には癒えてはくれなくて。
そんなある日、奥村は、あの事件の証拠をまだ持ってるというのは嘘だと安西に告げる。

当然、そんな奥村に対していつになく安西は怒る。
嘘ついて、騙して、仕事やめさせて、自分のところで働かせたから。
でも、本当は、そうじゃない。
奥村の脅しを言い訳にして、仕事を辞めた自分。
そして、どんな理由にしろ、好きだった奥村のそばにいられるのならばと思ってしまった自分。
そんな自分勝手なことを考えてしまう自分自身に、一番腹が立っていた。
中学生の安西は、奥村のことが好きだった。
美術室の窓から、グラウンドを走り回ってる奥村をずっと見ていた。
そんな安西の秘密に気付いた教師が、それをネタに最低ないやがらせをしかけることに。
それ以来、被害者であっても、なんでもじぶんが悪いと思い込むようになってしまった安西に、奥村は、何度も悪くないと言ってくれる。
被害者だから、なにも悪くないって。
そして、あの時はただのガキでなにもできなかったけど、今なら責任がとれるから、ずっと好きだったと告白。
順番としては、先に安西が自分の気持ち言ってしまってるので、奥村としては、すっかり出遅れ・・・。
でも、ホントにこの人、安西のこと大切にするだろうなって、すごく思った。
とりあえず、なにはともあれえっちになだれこむ昨今のBL。
それを否定はしないけど、こういうのもたまにはいいなあ・・・。
自分の中で、JUNEでもない、BLでもない、いいお話。
posted by 棗 at 22:38| Comment(2) | TrackBack(1) | BL(小説)>月村奎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いや〜月村さん。本当に名作多い!
何度でも読み返したくなりますね。
それが読ませる名作ならばえっちシーンがなくたってBLスキー読者は構わないんです!
えっちシーンがあれいいってものじゃないですよね。(そういうのもアリだとは思いますけど・笑)
要は読ませ方がポイントということで^^

TBさせて頂きましたのでご連絡させていただきます☆
Posted by 美鳥 at 2009年02月11日 11:19
美鳥さん、こんな古い記事にありがとうございます!

月村さんはホントに名作ぞろいですよね。
私は、この作品が一番好きなので、ぜひ新装版になってみなさんに読んでいただきたいですよ!
こんないいお話が絶版だなんて、もったいないですよね。


>えっちシーンがあれいいってものじゃないですよね。

そうですよね〜。
エロを楽しむのが目的ならないとだめですけど、こういう作品にはなくても全然・・・。
っていうか、なくても読ませる作家さんなんですよね、月村さんって。
だから年に一冊でも出てくれればいいんです。
それだけ丁寧なお話を書かれる作家さんですからね♪

私も久々に読み返したくなりました・・・。
Posted by 棗 at 2009年02月11日 19:25
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月村奎さん 「Release」
Excerpt: 何度も読み返したくなるなる月村本。どうしてこんなにも心に響く作品が多いのでしょうか。 本日の紹介本は月村奎さんの「Release」です。 画...
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