2013年03月02日

きっと優しい夜:うえだ真由

4344809661きっと優しい夜 (幻冬舎ルチル文庫)
うえだ 真由 金 ひかる
幻冬舎 2013-02-28

by G-Tools

<あらすじ>
同性にしか恋ができず、初めての恋人に裏切られ仕事を失い、恋に臆病になっている羽根理。今の仕事を懸命に頑張る理を、上司の堂上永貴は厳しく指導しながらも認め、理もまた、永貴を尊敬している。ある日、堂上に食事に誘われた理は、永貴から告白される。理は永貴の告白を受け入れ体を繋ぐが、その代わりにある条件を出し…。


ずっと延期になっててもう読めないのかなと、半分諦めていたんですが、この度ようやく読めました!
…そして待った甲斐がありました、すごくよかった!



うえだ真由さんて、こういうお話書かれる方だったかなあと、思いながら読んだりしたんですが、そういえば割と切ない系多かった…ですよね?
ディアプラスの作品がそういう雰囲気だった記憶が。
最近読んだいくつかの作品が、微妙にそこらへんからズレてた気がするんですよね…。
どっちかと言えば、お仕事系。
今回は、お仕事と切ないが絶妙すぎて、こういううえだ真由さん待ってた!と声を大にして言いたいです。
胸が痛くて、何度も泣いてしまったよ…。

羽根の恋心に、というよりは、彼の寂しさ孤独さ、そういう部分に自分の感情がすごく引きずられた気がします。
家族をなくして、恋人だと信じてた人にひどい裏切られ方をして、都会でただ一人生きてる羽根。
恋人とのごたごたで仕事を失い、ようやく手にした仕事も契約社員。
契約更新されるたびにほっとしたり、電気代の請求にびくびくしたり、まだ大丈夫だけどいつもギリギリの部分に立っている。
毎日朝は来るのに、未来を予測したくない…そんな雰囲気。
その追いつめられた羽根の必死さが痛々しいです…。
その羽根の一生懸命さをきちんと見抜いて指導してくれる、上司の永貴。
彼のことをちょっと怖いと感じていた羽根は、ちょっとしたことから距離が縮まっていく。
そして永貴は羽根を好きで告白してくるけど、羽根はその永貴の気持ちにつけ込むようにして、ある条件を出すことに。
そこから二人の関係は始まり、その条件はきちんと実行される…。
羽根はずっと不安定だった足元が固まり安心する一方で、自分のしたことのへの罪悪感でいっぱいになる。
そして、永貴と寝ることで後ろめたさを感じる。
優しくされるたび、いたたまれなくなる。
そこへ羽根の思い出したくない過去が顔を出したりなんてしたら、負のスパイラルに陥ることは必至…。
自分の過去だったり気持ちだったり、何一つホントのことを言えずに、どんどん自分の中に溜め込んでしまう羽根の感情が、すごく辛い…。
彼の恋愛部分にも切なさをすごく感じるんですが、それ以上に誰もが持ってる生きていくうえで感じる寂しさや孤独さ、そこから生まれるばくぜんとした不安、そういった部分にすごく共感してしまって、本当に読んでいて苦しかった。

発行されるまでに時間がかかった分、すごくいいお話になっていて、待った甲斐が本当にありました。
次回作はいつだろう、楽しみです。
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