2013年02月02日

愛の裁きを受けろ! :樋口美沙緒

4592876970愛の裁きを受けろ! (白泉社花丸文庫)
樋口 美沙緒 街子 マドカ
白泉社 2013-01-22

by G-Tools

<あらすじ>
タランチュラ出身でハイクラス種屈指の名家に生まれた七雲陶也は、空虚な毎日を送っている大学生。退屈を紛らわすためのクラブ通いにもうんざりしていたある日、陶也はロウクラス種の郁と出会う。カイコガという起源種のせいで口がきけず体も弱い郁は、陶也のことを好きなのだという。大のロウクラス嫌いの陶也は、手ひどく捨ててやるつもりで郁と付き合うことにするが、どんなに邪険に扱っても健気なまなざしを向けてくる郁に、いつしか癒されていることに気づき!?究極の擬人化チックラブストーリー登場。


こんなに泣きながら本読んだのは久しぶりでした。



明日命が終わると思って今日を生きるって聞くと、個人的には、悔いのないように自分のやりたいことを思う存分するって考えてしまうんです。
太く短く生きるというか…。
だから、このお話に出てきた郁も勇猛果敢に陶也にアタックして…なんて考えてたんですが、郁の考える明日命が終わるかもしれないということは、ちょっと違っていました。
覚悟の方向性が、逆を向いている。
起源種のカイコガであり、とても生きていくことが難しくて、世間一般にはなんでいるの?なんていわれてしまうような存在。
だからこそ、大事にしなければと思われ守られる存在でもある。
郁自身が、自分の存在意義に疑問を持ち、そして生き方さえも達観してしまうのは、仕方がないのかなと…。
でも、彼は人より早いかもしれない終わりに無闇に脅える訳ではないけれど、その終わりで誰かを傷つけたり悲しませたり、ということをすごく心配するのです。
だから、彼は自分の生を生きるというよりは、誰かの生を気にして生きている。
自分の命を大事にしてないとは思えないんですけど、自分の存在は二の次。
それが寂しい…。
それが家族だったり、友だちだったり、ましてや恋人だったら、そんな風に思って生きていられたら…やっぱり辛いですよ。
自分がいなくなってからのことを考えるより、今目の前にある現在を一番に思って欲しいですから。
その郁が恋に落ちた相手が、あの陶也なわけですが…。
あの陶也が?!なわけですよ。
オレサマで、他人の気持ちなんて全く省みない陶也が、相手のことを第一に考える郁とつき合うことに。
陶也にしてみれば、暇つぶし以外の何ものでもなかったはずなのに、郁にどんどんと気持ちを囚われていくわけです。
彼の変化は目を見張るものが…ありすぎます!
はじめはただのロウクラスだとかカイコガとか起源種とか、そんなものに惑わされてたかもしれないですが、だんだんと郁自身を見つめるように。
始めは遊びだったはずの気持ちが本気に変わったとき、郁の明日命が終わるかもしれないという生き方の覚悟が出てしまうわけなんです。
好きな人だからこそ、この先悲しませたくないから別れを選ぶ…それはそれでひとつの覚悟ですが、それは郁の事情、陶也の気持ちはお構いなしで。
それはそれで残酷でもあり優しさでもあり、それぞれの立場で正しいは変わるものです。
ただ1度目の選択で郁は別れを選んだんですが、2度目は手放さなかったです。
郁の生まれてきた意味って難しく考えなくても、そこに答えあります。
陶也に出会うこと。
陶也は郁に出会って変わったし、郁もそんな陶也に出会って、明日命が終わると思って今日を生きる、の意味が変わりましたよね。

陶也と郁、この先がどのくらい続くかわからないです。
もしかすると、不慮の事故で陶也が先にいっちゃうかもしれないし、二人一緒かもしれない。
先のことはわからないですけど、今この瞬間がとても幸せであることだけは、間違いない。
それを思うと、ますます泣けてくる…。
posted by 棗 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>イロイロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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