2012年09月17日

蛍火:栗城偲


<あらすじ>
大学教授の宮地洸一と小説家の塚原千里は、学生時代から連れ添って二十年の「恋人」。しかし、ここ数年は一緒に暮らしながらもセックスどころかまともな会話もない日々。ある日、些細な諍いから洸一は煙草と財布だけを手に家を飛び出し北へ…。一方、千里は独り残された部屋で互いを想い合っていた頃を思い出す。かつてはあんなに愛しく想い、添いとげようと決めた相手だったのに…。二十年の歳月を経て、凍りかけた想いに再び火が灯る―。不器用な男たちのラブ・クロニクル。


物語のその後、のお話。
BLではわりと珍しいかも、と思いながら読みました。


やっぱりくっつくまでに盛り上がって、その後はらぶらぶいちゃいちゃ…というのが多いように思ってたので、逆にその後が完全に冷え切った仮面夫婦みたいな関係になってるというのが新鮮で新鮮で。
つき合いはじめてから20年。
その間にいろいろあったかもしれないけど、学生時代にただつき合ってる頃と、大人になって仕事も持って事実上結婚したような同居がはじまってからとは、何もかも違うんでしょうね。
お互いの距離感だったり、相手に対する気持ちだったり。
嫌いになるわけじゃないけど、今までとスタンスが変わってくるんでしょうね。
そういうのにふと気付くのが、家に帰ってきて、乱れた部屋を見た瞬間だったり、夕ご飯かっさらわれたりしたときだったり。
決定的ななにかじゃなくて、ささいなことなんですよ…。
それほどに、いろんなものが長い時間かけて二人の間に積もってる。
もうだめかも、そう思ったときに、洸一は昔の千里によく似た青年に出会い、彼と旅に出てしまう…。
このお話、最初洸一視点で始まるのもあって、そりゃあ千里は愛想尽かされるよなあとついつい思ってしまうんですよ。
あまりにもだらしなさすぎて…。
でも、後半の千里視点のお話で、洸一の浮気の話が出てきて、しかも今回も若い子と一緒に北へ逃避行…。
まあ、結局どっちもどっちかなあ。
だれだって自分が一番だしかわいい、だからこそどんなに好きな相手だろうといつも優先できるわけじゃない。
最初はそれがちょっとしたことだったのかもしれない。
仕事が忙しくなったとか、つき合いが増えたとか。
でも、そこからなんですよね。
ダメなほうに転がって、気がついたらずいぶんな所まできてて、でも軌道修正するのももう面倒くさい。
生活と恋愛どっちに傾くかっていうと、もう完全に生活だよね。
恋愛に情熱傾けられるほどの若さもない、それよりは日々の生活をなんとかこなすほうが大事。
今回、その状況を土壇場でひっくり返すのに健太が現れたけど、でもそこで健太がひっかきまわしただけで終わる可能性だってあったわけで…。
結局、20年って長い年月は、二人の間にそう簡単に切れないものを作り出してしまったんですよね。
しかし、20年か…。
ひと一人が大人になる時間ですからね。
そりゃあいろんなことがあってあたりまえか…。

個人的には、健太にも幸せになってほしいなあ。

posted by 棗 at 13:04| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>栗城偲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック