2012年08月13日

てのひらにひとつ:夕映月子



<あらすじ>
経営学部生の和音は、塾講師のバイトをしている。そこへ社会人の日下部が、医学部受験のために入塾してきた。本来の志望進路もゲイである己の恋心も、すべてを諦めてきた和音。誕生日の夜、胸にしまい込んだその秘密を、和音は日下部に吐露する。現実的ではない夢のためにひとり戦う日下部は、ただ黙って話を聞いてくれた。そんな年上の男に、和音の心とからだはやがて惹かれてゆき…?優しい年の差ロマンス。


夕映月子さんの前作は山岳モノでかなりよかったので、今回はどんな作品かなあと楽しみにしてたんですが、かなりストレートに恋愛モノで、ものすごい好みでした。
この作家さんの雰囲気すごく好きかもしれない!
次回作も楽しみです。



進路も未来も恋愛も今まですべてを諦めてきた和音が、はじめて諦めたくないと思ったのが、日下部という人。
日下部への思いは、今まで和音が知らなかった感情を目覚めさせるもので、和音の戸惑いや動揺は想像以上。
今までの和音にとって、恋愛はかなりメンタル的なものだけで、好きだという気持ちだけで十分で、それ以上もそれ以下もない。
なのに、日下部を好きになってからは、メンタルだけじゃなくてフィジカルな面でも求めてしまう。
もともと恋愛に潔癖な面があった和音にしてみれば、そのことにものすごく罪悪感を覚えてしまうものであって、そんな自分に対してどうしていいのかわからずただただ思い悩むだけ。
ほんのわずかでも日下部に触れられると、わけがわからなくなり逃げ出してしまう。
遅すぎる初恋もまた、重症。
でも大人にはもう思いだせいくらい、一生懸命で一途な恋をしている。
日下部は、ちょっとズルイ。
人並みに恋愛を経験してきた日下部にしてみれば、和音のあふれんばかりの思いなんて見て取れる。
わかっていて、ちょっかいだして、和音を翻弄して。
でも、大人はあんな風にまっすぐな思いを寄せられると、恋することに少し躊躇するのかもしれない。
読んでいて、和音の気持ちは大人にはちょっと眩しすぎる。
眩しすぎて気恥ずかしくて、でも大事にしたいような気持ち。
今、あの頃みたいに恋愛しろって言われても絶対にできないと断言できる。
でも確かに、そんな風に誰かを好きだったこともあったなと、思い出すことはできる。
お話に引きずられて、自分の感情も随分揺さぶられた1冊。
そして月村奎さんが推薦文書かれてたのも、妙に納得。
こういう良質の恋愛小説、もっと読みたい。

posted by 棗 at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>イロイロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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