2006年11月23日

くちびるの封印:うえだ真由


<あらすじ>
満員の通学電車の中で偶然出会った年上の男、鷹宮瑛司と、つい関係を持ってしまった、高校生の芳条悠紀。
学校にも家にも、居場所がないと感じる悠紀は、その寂しさが紛れるのならと、鷹宮に会うために満員電車に乗り込む。
妻のいる鷹宮と、孤独を埋めるためのだけの悠紀。
割りきった関係が続いているはずだったのに、ある時、自分の本当の気持ちに悠紀は気付いてしまう・・・。
会社員×高校生モノ。


うえだ真由さん、デビュー作。
・・・そうだよ!私はうえださんの、こーゆー切ないのが読みたかったんだよ!
と、思った反面、「ん?この設定・・・」とも、思いました(笑)
でもやっぱり、うえださん好きだな〜と、再確認した一冊でした。



母親は若い恋人と駆け落ちし、それ以来、大学教授の父と二人暮らしの悠紀。
全く自分には無関心の父親、そんな父親の気を引きたくて、有名な進学校に通い、トップクラスの成績をキープし続け、必死にがんばり続けてしまう。
けれど、そんな気持ちに気付いてももらえない毎日。
ある日、いつものように惰性で通っている学校に行くため乗った満員電車で、鷹宮と偶然出会ってしまう。
寂しさの周波数があってしまったというしかない、ふたり。
学校を生まれて初めてさぼった悠紀は、そのまま鷹宮とホテルに向かい、関係を持ってしまう。
鷹宮自身も、製薬メーカーの会長の愛人の子として生まれ、どこか寂しさを抱えていた。
社長令嬢という妻を手に入れたものの、満たされることなく、ただなんとなく生きていたその時、鷹宮も悠紀に出会ってしまう。
お互い本気になんて成る気はなくて、一切連絡先を聞かずに別れたはずなのに、気がつけばまた会いたいと思ってる。
だから、満員電車に乗る。
・・・その時点で、二人とも、自らの思い込みに嵌まってて、身体だけ、本気にならない、そう信じようと思ってるだけで、本当はそうじゃない。
身体だけじゃなく、心が求めてる。
でも、その本心に、悠紀が気付いた時には、もう遅すぎて、もう引き返せないくらい、鷹宮のことが好きになってる。
でも、左手の薬指にある結婚指輪を見るたびに切なくて、どうしたって鷹宮はが自分ぼものはならないことだけは頭にあって、自分から離れる道を選んでしまう。
鷹宮の出張に付いて行った悠紀は、眠る鷹宮に、はじめてのキスを残して、帰ってしまう。
母親に捨てられた、というのが心の傷になってる悠紀は、だれかに捨てられるのなんて耐えられない。
いらないといわれるくらいなら、自分から別れる方がずっと心が痛まないから。
そのはずだったのに、せっかくみつけた、自分の居場所を、自ら手放した悠紀は、ますます居場所がなくて、どうしていいかわからない。
鷹宮の前では、見抜かれてはいただろうけど、散々大人ぶって見せてたくせに、やっぱり中身はずっとずっと子供で。
アルコールと煙草で、一生懸命紛らわそうとするんだけど、それもできなくて、ただやみくもに量が増えるばかり。
そんな時に、追い討ちのように、父親に裏切られてしまう。
でも、結局最後にすがりついたのが、鷹宮。
いつだって強がってた悠紀が、鷹宮の前で泣きながら、もうやだと言った時、やっと人に甘えることができたはず。
本当に、愛情に飢えてたんだなと思った、悠紀は。
確かに、母親に捨てられた、悠紀の父親も寂しかっただろうと思うけれど、彼は大人で、悠紀は子供だったんだから、なんとかならなかったんだろうかと。
親が万能とは思ってないけど、やはりやりきれない。
・・・それを言えば、駆け落ちした母親が一番の諸悪の根源ではあるんだけど。
しかし、鷹宮もけっこうなズルイ男。
妻がいるのに、若い愛人と散々遊んで。
しかも、肝心なことはぜーんぶ、悠紀に言わせて。
それに、悠紀がようやく甘えだしたと思ったら、食傷気味って、お前はええ加減にしろ。



ルチルから復刊!

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