2012年06月19日

ぎこちない誘惑:椎崎夕


<あらすじ>
退っ引きならぬ事情で、加藤嘉仁というひと回り年上の男を誘惑しなくてはならなくなった苦学生・末廣慎。まずは加藤の行きつけのカフェへバイトとして潜入、接触の機会を窺うことに。そんな折、ふとしたきっかけで当の加藤から人好きのする笑顔を向けられ、慎は戸惑いつつ親しくなっていく。いつしか「誘惑」のことも忘れ加藤に惹かれるが…。


先日、あらすじにひかれ手に取り、中もぱらぱらと目を通したらおもしろそうだったので買った本。ブクログに登録する時に、既読であったことが判明。
…その後読みましたが、最初から最後まで新鮮に読めました。
そんな残念な記憶力の持ち主の私は、この『ぎこちない誘惑』が『スペアの恋』のスピンオフだと言われても、???状態。
憶えてなくても十分楽しめましたけどね。






騙してやろうとか落し入れてやろうとか、そういう意図ではなかったにしろ、加藤という男に近づき親密な仲にならねばならないという状況におかれ、思いがけず加藤という人の優しさに触れ、気がついたら好きになっていた。
でも、自分は加藤に嘘をついている…。
慎という人は、とても不幸な子供時代を過ごした人で、一番信じられる存在であるはずの家族に捨てられ、そして裏切られた。
しかも、家族は彼の大切な友人までも落し入れ、彼からお金だけではなく友だちの存在すら奪い取っていった。
だからまたそんなことが起こるのではないのかと恐れ、誰かとつながりができることが怖くて、人とは深く関わらない近寄らせない。
そんな毎日に、ある大きなトラブルが降りかかり、学費と引き換えに、加藤という男に近づくという、怪しいバイトを始めることになる。
慎はとんでもない家族を持ってしまったばかりに、年の割にはしっかりしてると思うし、基本流されるような性格ではないはず。
それなのに、学費紛失というトラブルに思考力がついていかずに、あれよあれよという間に、バイトを始めることになる。
そして、バイトをはじめてすぐに、偶然が重なり加藤との距離が一気に近づき、カフェの常連とバイトの関係から、成り行きで同居するまでになってしまう。
慎は、他人を自分に近付けたくなくて一生懸命離れていこうとするのに、そういう空気ガン無視で加藤は慎にずかずかやってきて、気がつけばなんだって「はい」って言わされてるような感じ。
他人に対してかたくな過ぎるほどかたくなな慎にしては、うまいこと丸め込まれちゃった感がありますよね。
過去が過去なだけに、慎は性格的に難ありな感じに育ってもおかしくはないのに、彼らを反面教師にし間違った方向へは進まなかった。
ただ人付き合いを拒み続け、それが第一印象にも現れて、取っつきにくさを相手に与えてしまう。
だけど、やっぱり慎の人となりは、その印象を裏切るように、とても素直でまじめ。
そういう部分、やっぱり滲み出るものがあるからこそ、過酷な状況にある彼に、誰もが手を差し伸べてくれるんですよね。
そして、それをよしとしない彼の頑固さもまた、好ましかったりちょっと淋しかったり…ってところなんでしょうか。
その慎が、ターゲットだと思ってた加藤は…見た目を裏切るハラ黒ドS(笑)
慎も、結局は加藤にいいようにからめ捕られちゃった感が無きにしもあらずってところです。
慎の本質はわかりにくいけれど、誰しもが気付くこと、でも加藤の本性は、本命以外は誰もが知っていた(笑)
そこら辺が、人生の経験値の差ですよね、大人と子供(…ってほどでもないけど)CPの醍醐味。
しかし、最後の最後でオトコマエ度が上がったのは慎の方かな。
加藤はただのエロオヤジ化してたもんね(笑)
posted by 棗 at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>椎崎夕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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