2006年11月01日

エス 残光:英田サキ

4813011381エス 残光 (SHYノベルス170)
英田 サキ 奈良 千春
大洋図書 2006-10-27

by G-Tools


<あらすじ>
警視庁組織犯罪対策第五課、通称「組対五課」の刑事、椎葉昌紀は、エスと呼ばれるスパイを情報提供者として工作し、拳銃の密売情報を得ている。
ある日、椎葉のエスである宗近が、何者かに撃たれ、病院へと運ばれる。
たったひとりのエスであり、それ以上の存在である宗近を守るため、椎葉はある決意の元、五堂の元へ。
椎葉、宗近、五堂、東明、そして紀里の様々な思いと過去が交錯する・・・。
ヤクザ×刑事モノ。


私は声を大にして言いたい。
やっぱり、エスが好き。
そんなわけで、最終巻の感想は、長くなってしまいました(笑)
いつも以上にネタバレも盛大にしてます。
未読の方ご注意ください。


感無量の最終巻です。
「裂罅」を読み終わった時、この最終巻がすごく待ち遠しかったのに、いざ手にすると読むのが怖い。
これで終わっちゃうんだなというのもあったけど、それよりもただ、椎葉と宗近がこのままでいられるわけなんてないだろうな、というあきらめもあったので。
別々の道を歩むのか、それとも命を落とすのか、そんな最悪の結末ばかりを思い描いていただけに、表紙めくっただけで泣きそうに。
カラー口絵の下に、セリフがありましたが、それだけで十分・・・。

いろいろBL読み散らかしてきましたが、このエスほど、二人が男同士であることに説得力のある作品はないような気がする。
一巻読んでた時からずっと、それは感じてたことで、それは結局最終巻読んでも変わらなくて、ものすごく納得してしまった、そんな感じ。
だから、二人は一緒にいられるんだろうなと。
刑事とエスという関係から始まって、心の底では、死ぬほどお互いを求め合ってるのに、それを口に出せないで、ただただ身体だけを重ねて、気持ち誤魔化して。
椎葉は、宗近に出会ってから、見せかけの強さをなくして、段々自分自身に嘘がつけなくなって、自分の弱さを認めることができ、ようやく強さを手にいれた。

この「残光」で、椎葉は足下さえも見えない状態になってしまってたと思う。
姉を殺したかも知れない人物であり、宗近にケガを負わせた人物、五堂。
彼には、その時、五堂しか見えてなかった。
ただ深い憎しみに捕らわれていて。
その心の奥底を見据えられ、宗近の命と引き換えに、五堂に捕らわれてしまう椎葉。
監禁され、自ら命を絶つことを考えた椎葉を救ったのは、やはり宗近。
でも、その思い出は、ちょっと酷いと思いつつも、やっぱり椎葉と宗近らしいなと。
どこまでも深い闇を抱え、紀里にだけ素の自分を見せることのできる五堂。
五堂が、椎葉の姉を殺した人物で、その理由も、あまりにもやるせなくて。
そんな五堂に、銃を向けたものの、引き金が引けなかった椎葉。
どうしてもできなかった椎葉を、本当に強いと、その時思えた。
憎しみにかられて、そこで五堂を撃つことは、きっと簡単だったと思う。
でもしなかった。
結局、決着をつけたのは宗近。
彼もまた、五堂とは浅からぬ因縁の持ち主だから。
でも実は、宗近が犯人だと疑ってた時期がありました、私・・・。
ごめん、宗近・・・。
そしたらますます、ロミジュリになってしまいますね。

それにしても、オ○ニーショーに始まり、道具攻めに、クスリ、暴力をふるわれながらの行為に、ピアスにまたクスリに、公開えっち、・・・椎葉、ホントひどい目にあってばかりで、よく生きてたね・・・。
そんな、三巻までの散々な仕打ちが嘘のように、この巻では、気持ちが通じ合ってからの二人の行為は、・・・恥ずかしいほど甘くて。
真剣に照れてる椎葉と、それが嬉しそうな宗近と、今までの嵐のような日々が嘘みたいに穏やかで。
だからこそ、その後の別れは、なんかすごく予想は付いたけど・・・。
刑事をやめるという、プロポーズにしか聞こえない椎葉の言葉に、だめだと言った宗近。
東明を一人前にしたら、迎えに来るから・・・って、これもすごいプロポーズ。
・・・でも、今回改めて、一巻から読み直したところ、宗近は、最初から言ってましたね、裏の仕事から手を引くことを。
その時には、こんな結末を宗近自身予想してはいなかっただろうけど。
こんなに、意味のある言葉に変わるなんて、やっぱり人ってわからない。
どんな契約も存在しない、言葉だけの約束をしてキスだけで別れた二人に、強い意思を感じて、再会が早ければいいなと、心底思ったけれど・・・。
ページの上では、すごく早かったですね(笑)
会えない時間というものが、どれほど長いかは、それは想像が付くけど、でもそこに何の期限もなければ、なおさら長くて。
お互い信じれたのは、やっぱり刑事とエスとして濃密な時間を共有したもの同志だからこそで。
最後は、笑顔になれて良かったね(泣)
小冊子で、今度こそ最後になりますね。

今回改めて読み直しましたが、あることに気付きました。
私、椎葉と宗近以外のキャラクター、どうでもいい・・・。
一巻読み直して「ああ、安東っていたなー」と酷いことを(笑)
そんな中、紅一点だった紀里。
奈良さんのイラストで女の子見るの初めてだったんですが、なんかすごくそのシーンといい、彼女の雰囲気といい、すごく心に残ってて。
すごく印象深いキャラクターになりました。
彼女が、これから歩いていかなければならない道が、決して平坦ではないと思うけれど、五堂の子とふたり、少しでも幸せが多ければと思わずにいられませんでした。



「エス」の感想はコチラ
「エス 咬痕」の感想はコチラ
「エス 裂罅」の感想はコチラ
posted by 棗 at 18:09| Comment(6) | TrackBack(3) | BL(小説)>英田サキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは&はじめまして!tatsukiと申します。
昨日もTB送信させて頂きましたが、本日もこちらの記事にあとで送信させて下さい。
本当は昨日のウチに挨拶に伺うつもりだったのですが、
自分のブログの記事をあげるだけでヘロヘロになってしまい、
本日改めて、遅ればせながらの挨拶になってしまいました。
昨日の二の舞にならぬよう、今日はコメントを先に失礼します。

安藤って確かに小説版だと印象薄かったですよねー。
私も小説だけだと、多分記憶に残らなかったと思うのですが(笑)、
ドラマCD版だと割と良い感じにキャラクターに厚みがありますよ。
思えばエスに出会わなければ、BLCDは未だに聞いていなかったかも…。
そういう意味でも感慨深い一作でした♪

「やっぱりエスが好き」

私も同感です。
これは三谷幸喜のアレが元ネタでいいんですよね…?
私、昔あのドラマが大好きだったんですよー♪
では、また遊びに来ますね。
Posted by tatsuki at 2006年11月01日 20:16
こちらこそ、こんばんは、はじめましてです、tatsukiさん。
昨日のTBだけではなく、コメントまでありがとうございます♪

BLCD!私には全くの未体験ゾーンです。
確かに、エスのCDはすごく聞いてみたいなあと思ったんですが、アレとかアレとかアレのシーンがあるかと思うと、ちょっと厳しいです(笑)
ただ、読み直してて、安東くん、なんかワンコみたいで、イイ奴だ・・・とぼんやり思ったりしたんですよ。
あー、安東くんのところだけでも、CD聞いてみたくなっちゃいました。

>やっぱりエスが好き
実はですねー、「猫」じゃないんですよ、元ネタ。
カツクラの合言葉の方のパクリです。
猫の方は、ごめんなさい、見てないんです。
存在だけ知ってるような状態で・・・。

そんな無知な人間ですが、これからも、どうぞよろしくお願いします♪
Posted by 棗 at 2006年11月01日 22:02
棗さん こんにちは♪

私はけっこう脇キャラ萌えしてました(笑)
安東なんかは「エス」では地味でしたけどそのあとのエピソードでじわじわボディブローのように効いてくるんですよ〜!
店名とか・・・。

ともかく余韻の深いシリーズですよね。今度の小冊子は日常ラブな宗近×椎葉も見たいものです♪

今回は無事にTB成功したようです♪ありがとうございました!
Posted by ゆちゅらぶ♪ at 2006年11月02日 13:30
はじめまして。秋月と申します。
「エス」シリーズが大好きなので、同じ記事を挙げられたとしってお邪魔してしまいました。
「やっぱりエスが好き」
私も声を大にして叫ばせていただきます。

私も1巻から読み通してみたんですけど、宗近が裏の仕事から手を引くと言っていたのと同様に、最初から椎葉は、エスとしても、ひとりの男としても宗近が欲しいって考えてるんですよね。
遠回りでしたけど、二人とも、やっと望む関係に落ち着いたんだと思います。
小冊子で本当の最後ですね。楽しみに待ちたいと思います。
ではでは、長々失礼しました。
Posted by 秋月 at 2006年11月02日 17:24
ゆちゅらぶ♪さん、4連続TB大成功です、ありがとうございます(_≧Д≦)ノ彡☆

安東くんは、読み直して、そうだったガンショップにスゴイ名前付けたんだったと、思い出しました。
彼の場合、椎葉と何もなかっただけに、いい人度合ががっくり上がってしまいました。
そして万が一にでもなんかあったら、宗近に酷いめあわされてしまうだろうなと、無駄な妄想をしました(笑)

小冊子は、ホントにどんな内容になるんでしょうね。
しかし、本自体を切るって、酷い・・・。
切り損ねたら、どうするんだろうと、今からドキドキしてます。
そうこうして、出しそびれそうなのが一番怖いんですが・・・。
Posted by 棗 at 2006年11月02日 18:15
秋月さん、はじめまして、こんにちは。

ちょうど秋月さんのところへお邪魔して、帰ってきたら、コメントがあったので、驚きました。
入れ替わりだったみたいですね。

やっぱり、エスが好き。賛同いただけたみたいで、嬉しいです。
小冊子が届いたら、もう一回叫ぼうかと思ってます。

結末は、あんまりにもらぶらぶのあまあまだったので、一瞬動きが止まってしまったんですが、おそらく自分自身この結末をすごく望んでました。
すっごい暗い想像ばかりしてたのでなおさら。
二人の望む形は、これだったんですよね。
・・・遠回りも遠回りな二人でしたけど、ホント良かったです。

ああ、またテンションが上がってきてしまいました、何書いていいのかわかりません(笑)

TB&コメント、ありがとうございました。
Posted by 棗 at 2006年11月02日 18:30
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