2012年02月26日

鏡の国のファントム:草川かおり


草川 かおり
プランタン出版
発売日:2012-02-14


<あらすじ>
料理に携わる仕事がしたいと、上京した上野雅紀。しかし、理想とは違い、仕事は居酒屋の厨房でアルバイトで、その日暮らしをしていた。そんな中、母が倒れ、なんとか金銭面だけでも助けたくなった雅紀は、人の紹介で身体を売る決心をする。客と間違えた男に暴力を受けた雅紀は、待ち合わせのホテルから追い出されそうになるが、身なりのいい紳士に助けられる。その男、藤崎玲央もまた客ではなかったが、一週間で雅紀を買おうと言いだし―。

実際に作品を読むと、あらすじから受けた印象とは随分違ってました。
良い意味で裏切られた〜(≧∀≦)




受の雅紀は、母親のために体を売ってお金を稼ぐ、とか考えるくらいだから、もっと健気な感じの子なんだろうなあと漠然と思ってたんですが、そういうタイプでもなかったかなあ…。
生き方は要領もよくないし、まさにバイトだけでその日暮らしみたいな毎日を送ってる。
夢とか希望なんて言葉とっくの昔に消えていて、生きてるだけで精一杯みたいな日々。
ふと思うのは、自分はこの職場で、この場所で、この世界で、必要とされているのか。
そんなこと思いながらも、すべてを冗談で変えて、笑ってごまかす。
そんな日々に一つの転機が訪れ、母親の手術で大金が必要となる。
母親のために何かしたい、でも日々の生活でいっぱいいっぱいの自分には先立つモノはない、こんな状況では家にも帰れない…。
そんな時に、知人に身体を売る仕事を持ちかけられる。
こういう状況になりつつも、往生際が悪い雅紀…。
ものすごくイヤそうなんですよね、当たり前ですけど。
でも、そんな様子もちょっと珍しいなと。
そんな雅紀だから、お客を間違えトラブルを起こしたところを、間違いから玲央に拾われることに。
玲央は上流階級、雅紀は下流、身分違いの二人が出会いました…なお話だったらよくあるかもしれない。
けど、玲央はファントムなのです。
ファントム…オペラ座の怪人をご存知のかたなら、すぐに予想がつくかと。
玲央は家がお金持ちで、仕事も順調、でもソレのお陰で人に対して深く心を閉ざしている。
じゃあ、なぜ雅紀を拾ったか。
それは雅紀が”汚れ”ていたから。
お客だと思って声をかけた相手が別人で、殴る蹴るの暴行を受けた雅紀はもうボロボロだったわけです。
それから買われた雅紀は玲央の家で1週間ほど滞在するわけだけど、玲央はお金で買ったからと言って、その気もない相手に無理強いすることもなく、ほんとにただ一緒に寝るだけ。
こんな紳士的な攻様みたのは初めてかもしれない…。
据え膳どころか、人様のものまで食い散らかそうといういきおいの攻なら山ほどいるけど、全く手を出さないなんて!
お互いにそういう性的嗜好があるわけでもないのだから、当たり前といえば当たり前なのですが…。
1週間のうち、二人が顔をあわせている時間は短くて、お互いを知るには全然足りないのかもしれない。
雅紀はあんな生活をしていながらも人として大事な部分は無くしてないから、すごく素直だし純粋な部分も失ってないんですよね。
そういう雅紀のいいところは、人嫌いの玲央にも伝わるし、玲央の秘密をこっそり知ってしまっていろいろ慮ることのできる子。
そして足りない部分をフォローするがごとく、お屋敷の人々は総じて親切ですし。
でも、夢が覚めるのは早いんですよね。
捨てきれない過去が追いかけてきて、ジャマをするんです…。
玲央は”秘密”のこと、雅紀は前にいた場所。
でも、それを清算するすることで、ふたりはまた新しい関係を築くことができるのです。

それにしても、自分がいかにBL的なお約束に馴らされてるか思い知りました…。
玲央の設定には特に驚かされました。
…今まで自分が読んだBLにはそんなタイプの攻はいなかった気がする。
posted by 棗 at 10:06| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>イロイロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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