2010年11月02日

はじめてのひと:椎崎夕


<あらすじ>
「好きになってはいけない、恋してはいけない相手だなんて、知らなかった・・・」

家族を交通事故で失った川村真巳は、入院中の祖父と一緒に毎日をつましやかに暮らしていた。
コーヒー好きの祖父のため持ち帰りができる店を探していた真巳は、
隠れ家のような喫茶店「翠雨」を知る。
誰にも頼ることを知らず甘えようとしない真巳を、店の主人である江島は優しく見守っていた。
そんな江島にどうしようもなく惹かれていく真巳だが、
江島の存在を知った祖父から、彼とはもう会わないでほしいと言われてしまう、彼は赦せない相手だから、と。
混乱し、納得できずにいた真巳だが、そんなとき、男にキスしている江島を見てしまい!?



椎崎さんの切ないお話はすごく好きです。



はじめて好きになった人が、好きになってはいけない人で、でもどうしても忘れらなかったらどうしたらいいんだろう。
先はわからないけど、今はどうしても忘れられないっていう気持ちが痛くて痛くて、苦しいなと思った。

椎崎さんの「帰る場所」もそうだったんですけど、ホント切ない話いいですよね。
なんかもう最初のほうで泣きのスイッチが入ってしまって、それはもうずっと涙腺が崩壊していた…。
多分今までそこまで泣いた本ないだろっていうくらい泣かされてしまって、自分でも驚きました。

唯一の家族である祖父がもうながくはない、仕事もなくなる、二十歳前の男の子の置かれた状況にしては過酷すぎると思うんですよ。
でも本人は、祖父のためにできることは何でもしてあげたいと思い、自分のことは二の次でも一生懸命にしてますよね。
実の父親に疎まれ、疫病神とまで言われた真巳を、きちんと愛してくれたのが祖父の存在だけで、そんな大事に人だからこそ、願いはなんでもかなえてあげたいと思うわけで。
でも仕事に学校い忙しい毎日の隙間をぬって、そばに居るくらいしかできなくて。
でも、やっぱり彼には重すぎますよね、現実が。
ぽっきりいってしまった彼を助けてくれたのが、たまたま知り合った喫茶店の店主の江島。
甘えを知らなくて、あきらめることばかりが上手な真巳を、うまく引きこんでしまう。
そうして、江島の店でアルバイトをすることになり、真巳は彼に惹かれていくを止められなくなる。
けれど、彼は好きになってはいけない人だった。
そんなこと、恋に落ちたあと言われたって、どうすることもできない。
だれになんと言われようと、あきらめきれるわけなんてない。
でも、それがこの世で一番の祖父のお願いだとしたら。
それが最後の頼みごとだとしたら。
あきらめたくないと思った人をあきらめるしかできないんですよね。
そうやって、好きな人への恋心は封印した、そして肉親も失った。
その時彼に残されたものって、なんだろう。
寂しさだったんじゃないかな。
空っぽの部屋が、どんなに広かったのか。
そんな寂しさに気づいてくれる人もいるんですけど、でもダメなんですよね。
将来的にはわからない、でも今はまだ江島がいいんですよ、江島じゃなきゃだめなんですよ。
多分、そこでその別の人の手をとれば、その人に愛されて、それはそれは大事にしてもらえる。
でも、自分のことをどう思ってるのかもわからない江島への気持ち断ちきれなくて、この先どうにかなるだなんて甘い予測は一切できなくて、しかも真巳を縛る約束もあって…。
マイナスだらけだけど、江島をそこまで忘れられないって、なにもかもが真巳にとってのはじめての人だったからなんだろうけど。

もう今更どう仕様も無い過去と、どうなるかわからない未来を心配するんじゃなく、今ある気持ちを優先するっていうのも潔いよね。


さて、全サのためにひとでなしも読まなくちゃ(笑)
これとはえらい違うらしいのでどきどきだな…。
posted by 棗 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>椎崎夕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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