2009年11月03日

君を抱いて昼夜に恋す:久我有加



<あらすじ>
彫師の八束は、付近を預かる博徒の口利きで男をひとり預かることになる。最初の晩、男、源太は唐突に夜這いをかけてくる。その手に熱を上げつつも「抱くなら彫らんぞ」と告げると源太は引き下がったが、実のところ八束の心にこそ彫りたいという欲が生まれていた。だが美しいが情がないと亡き師に評された己の彫り物では、源太の野性に喰われてしまう。葛藤する八束は……? 博打打ち×彫師の大正任侠ロマンス。


なんていうか、一言で言うと萌えた。



今回は完全にこの男前すぎる受けの八束に萌え過ぎた気がしなくもない・・・。
キャラに萌えて、関係に萌えた。
この古めの時代設定と、関西弁がまたぴったりハマってて。
久我さんの作品の中で一番好きかもしれない(≧∀≦)

美しいが情がないと評価される八束の彫り物。
そう言われるのもなんとなくわからもなくない、そんな雰囲気を醸しだしてる。
当時珍しいことではなかったとはいえ、悲惨な子供時代を過ごし、ようやく彫師として落ち着いた生活を得てはいるけれど、その仕事がしたくて彫師をはじめたわけではないんですよね。
生きるために絵を描くことを憶え、その才をたまたま希代の彫師・為吉に見込まれ、弟子となった。
そこに仕事に対して、作品に対して、情熱が生まれてこない。
仕事は完璧にこなせても、そこに自分が思う”情”だけはどうしたって見いだせない。
そんな思いを抱えていた時、八束は源太という博徒に彫り物を彫ることに。
犬ということでお預かりした源太は、犬っていうか猛犬?
とても静かな男だけど、内に秘める荒々しさというか獰猛さを隠さないんですよね。
その源太の身体を見て、はじめて八束はこの身体に彫りたいという欲が生まれてくるんですよね。
そのくらい目が離せない身体を持った男、こんな感情を抱いたのは初めてで、八束も自分の内側に生まれてくる熱がおさまらない。
その一方で、自分がこの身体に彫ることはできないと感じてるのも事実。
他の誰かが、源太の背中に彫るのを見るのはいやだけれど、今の自分が彫ってしまって、源太も自分も笑いものになってしまうようなことは避けたい。
なんだかんだ言いつつも、八束は彫師としての強い矜持を持っている訳で、そこに中途半端な仕事はできないという意志を感じるんですよ。
生きていくために選んだ仕事かもしれないけど、結果的にそれがこういうカタチで花開いてるってことは、やはり運命もあったのかもしれないなと思えるんですよね。
その八束に彫師としてのすべてを教えた為吉が、美しいが情がないと評したのだって、もしかすると生きることにどこか冷めてる八束に情を知って欲しいという親心なのかなと。
だからこそ、情を持ちたければ死ぬほど惚れてみろなんて言葉、残してくれたのかもしれない。
そんな八束の、彫りたいという情動と惚れるという感情、その二つがごちゃまぜになった熱みたいなのが生まれた時、とてつもなく色気が生まれますよね。
だからと言って、八束が女々しいとかいうんじゃないんですよ。
源太は随分男らしい男だと思うんですが、それに負けない男前なんですよね。
久々に、こんなにかっこよくて色気のある受けキャラ読んだ。
満足すぎる!

書き下ろしの『仇枕』もすごくよかった〜。
posted by 棗 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>久我有加 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック