2009年10月13日

犬ほど素敵な商売はない:榎田尤利



<あらすじ>
★Pet Loversシリーズ 第1弾

悪い子だ。発情してしまったのか?
自覚のあるろくでなし・三浦倖夫は、うだるように暑い夏のある日、
会員制のデートクラブ「Pet Lovers」から「犬」として、寡黙で美しい男・轡田の屋敷に派遣される。
そこで倖夫を待っていたのは厳格な主人轡田の厳しい躾の日々だった。
人でありながら犬扱いされることへの屈辱と羞恥。
そして、身体の奥底に感じる正体不明の熱・・・次第に深みにはまっていくふたりだったが!?



シリーズ第一弾なのに、一番最後に読んでしまった(>_<)



あらすじにあった、”躾”と”犬扱い”の言葉にかなり腰が引け気味で。
今更なんですが、私はSMも調教モノも好きではないんですよ・・・。
寧ろ避けて通るほう。
それもあって、Pet Loversシリーズは他の3作品は読んでたんですが、なかなかこれに手が出なかったんですよね。
でもついったーで、みなさまにオススメされたので、読んでみました。

他の作品読んでいたのもあって、このあらすじにちょっと違和感がなくはなかったんですよ。
他のシリーズと雰囲気が違うような気がして。
でも読んだら、確かにあらすじのように”犬扱い”で”躾”られるんだけど、思っていた方向とはかなり違ってた気がします。
それが性的な意味でのプレイではないし、そのことによって倖夫の人格を踏みにじるものではないし(とはいえ、犬扱いしてますけど…)。
まさにご主人様と犬なんですよね。
こうやって書くと、またなんか違う気がしなくもないけど、でもやっぱりそうなんですよね。
飼い犬に愛情もって接するご主人様と、ご主人様の愛を一身にうけてそれに応える犬。
この二人は寂しさをすごく知っていて、それゆえにこの関係を築くことができる。
それくらい、二人はいままで孤独だったんだろうなと。
言い換えれば、それを埋められるのであれば、”ご主人様と犬”でなくてもよかったわけですよね。
愛情を注ぐこと、愛されること、これがうまくイコールでつながることができれば、カタチは問わない。
ただ、その時は、それがちょうどいいカタチであった、それだけ。
それ故に、倖夫は”犬”である状態に心地よさをおぼえてしまうんですよね。
普通のひとだったら、もしかしてそこまでの心地よさなんておぼえないんじゃないかなと思えるほどに。
二人とも、早くに家族をなくしていて、それがすべての原点なのかなと。
そのなくした状況も違えば、それまでの家族との関わりもまるで違う訳で、だから”孤独”を抱えながらもその埋め方がまるで違う。
轡田が、相手をがんじがらめにするほどに愛する方法を選択してしまったのとは違って、倖夫は、寂しさを感じることもないように、何も感じないほうを選んでしまってる。
そうやって、自分の中にある感情が何だかわかってないような倖夫に、本気の愛を教えたのは、轡田なんですよね。
愛されることと愛することと。
飼い主と犬だからこそ、そこに難しい言葉も駆け引きもなくて、実にシンプルに伝わるんですよね。
轡田は、”ご主人様と犬”という状況を彼なりに真剣だったんだろうと思う。
でも彼はお金でなりたってる関係だからこそ、ちょっとそれを甘く見過ぎてたと思う。
それ以上に倖夫は愛に飢えてたし、それに応えるように轡田も愛をそそぎ過ぎてる。
ただ、二人ともオトナでビジネスから始まってるんだから、本当はどこかで線ひくべきなんだよね。
でもそれができなかった倖夫が、どこまでも寂しい子だなって。
あんな始まりかただったのに、めいいっぱい愛されること知って、でもそれを突然断ち切られて。
降ってわいたような感情に、あんなふうに振り回されて、でもそれを知らなかった頃にはもう戻れない。
Pet Loversのシリーズは、とかく泣かされてしまうんですが、多分このお話が一番泣かされた気がする・・・。
それくらい、倖夫の喪失感が辛かったです。
その分、その後の轡田の独占欲丸出しの行動には、あきれつつも(笑)安心もしましたが。
でも、むやみやたらと倖夫のことを囲い込むわけじゃなく、少し離れた場所から見守ることもできるようになったんだよね。
飼い主と犬、という関係を経て、倖夫はすごく変わったけど、轡田も昔のままじゃないんだなと。
ただ、寂しさを埋めるだけの関係ではなくなったのが、嬉しかった。

posted by 棗 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>榎田尤利 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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