2006年02月05日

ビター・チョコレート:江上冴子

ビター・チョコレート
江上 冴子著
集英社 (2002.10)
ISBN : 4086001756
価格 : \460
通常2-3日以内に発送します。


※ネタバレかと思います。

<あらすじ>
高森家の跡取りとして育てられた15歳の一成にとって、一回りしか離れていない実咲は叔父というより従兄弟のような存在だった。
建築士になる夢の途中、激務で身体を壊した実咲がひさしぶりに高森の家に帰ってくる。
一成の家庭教師となった実咲と時間を共有するうちに、一成は誘われるがままに、実咲におぼれていくのだった・・・。
甥×叔父モノ。


というわけで、甥と叔父。
禁断の匂いがぷんぷんです(笑)
しかもコバルトから、こんな作品が出ていようとは!!
チャレンジャーです、コバルト。
ところで、この作家さんを手にしたのははじめてなんですけど、調べてみたら作家業を休業されてた・・・。
せっかくツボな作品見つけたのに〜。
まさに、ビター・チョコレートなお話でした。


潔癖さも好奇心も兼ね備えた一成。
彼の前に現れた叔父の実咲は、どこまでも穏やかで優しい。
でもその内側には隠された本質に、一成は触れてしまう。
まっすぐな気持ちをぶつける一成、そして流されるがままに関係を続けてしまう実咲。
男同士だということ、叔父と甥という関係だということ、そんなことわかりきっていながら、ふたりはやめることができない。
やがて時は告げる、一成の、苦くて甘いとろけるような、初恋が終わったことを。

一成のような子が、実咲に惹かれてしまうのもわからないでもない。
あのくらいの年ごろの子が、うんと年上の人にあこがれることってよくあること。
「大人」に属する人といることで、まわりの同年代の子たちより大人になった気がするものだし。
そしてなにより、初恋の相手にするには、実咲はちょっと性質が悪い。
危うさと脆さ、そしてその隙間に見え隠れする色気。
すれてなくて自分の気持ちに正直で、まっすぐな一成が、あれよあれよというまに、実咲におぼれてしまう。
そんな実咲のこと、ものすごく好きになれなかった。
彼は、ものすごく弱い人。
そして、ずるい人。
一成と関係を持ってしまったときも、口ではダメだといいながらも拒まない。
しかもそれを何度も続けてしまう。
寂しさを埋めるための関係だったとは思いたくはないけど、そんな風に思われても仕方ないんじゃないかなと思わせる何かが、実咲にはある気がする。
そして何より、最後に逃げの道を選んだ彼が、もうこの人ってこういう生き方しか出来ないんだなって、寧ろ哀れで・・・。
そうやって誰かが、自分を追いかけてくることばかり選ぶのって、やっぱりずるい。
15歳の一成がずいぶん大人に見えたし、恋に恋してただけのころから、ずいぶん成長したんじゃないかなと。
次に出会う誰かは、きっと心から愛してると言える相手のはず。


posted by 棗 at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>イロイロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック