2009年08月04日

征服者は貴公子に跪く:いつき朔夜



<あらすじ>
両親、そして財産を失い、先祖代々の居城を手放すことになったパウル。ところが、契約書にサインを済ませたとき、売却先である日本のホテルチェーンから来た牟田は、かすかな笑みを浮かべて告げたのだ。「あなたも込みで買ったのですよ」と。男の傲岸さに最初は反発を覚えたものの、無表情ながら冷血漢ではない牟田と徐々に心の距離が近づいてゆき…。
日本人ホテル王×ドイツ人貴族モノ。


タイトルとあらすじで腰が引けぎみだったんですが、ブロガーさんたちの感想を読ませていただいて、そうではないらしいとわかって購入。
7月読んだ本の中で一番良かったです・・・。


タイトルとあらすじで、真っ先に傲慢攻めが借金のカタに受けちゃんにご無体なことをしまくる話なのか?あのいつき朔夜さんが?えええ〜?と実は思ってました(笑)
そしたら、きちんといつき朔夜さんらしい、繊細さのあるお話で♪
BLずっと読んでると、ある程度”お約束”っていうのが読めてくるんですよね、わりとそのお約束コミで楽しんでますけど、今回はわりと気持ちよく裏切られまして、最後まで展開が読めなくて。
しかも、ソレ、うまいこと伏線がありましたよね・・・。
今度発売される例の新刊も、ますます楽しみになってきました〜♪

ドナドナではなかったです(笑)
人付き合いに不器用な攻めと元貴族の気骨を持った受けちゃんの、ちょっと焦れったい感じの恋愛模様かなあ・・・。
でも根本は、日本人とドイツ人の外国人同士の恋愛ですよね。
確かにひとと付き合うのに、価値観って大事になってくるんですが、普通に日本人同士でも合わないこと多いですよね。
そもそも自分自身以外、価値観同じ人なんていないと思ってますが・・・。
ただ、同じ日本人だと特になにも言わなくても通じるものとか感覚とか、ありますよね。
逆に、外国で異文化に触れた瞬間の衝撃みたいなのとか・・・。
その昔、アメリカの方に「なぜミドルネームがあるのか?」と聞いたら、「なぜミドルネームがないのか?」と逆に聞き返されたというのがあって、自分が当たり前なことが、ヨソでは当たり前じゃなかったり。
小さなことから大きなものまで、それはもう多岐にわたってさまざまあるんですよね。
結局のところ国民性につながっちゃうのかな?
とはいえ、誰かを好きになるという気持ちだけは、万国共通ですよね。
二人は出会いがアレだったわりに、お互いにお互いを知り惹かれていきます。
途中、事件や事故が起こりますが、それで急展開に恋心に火がつくわけでもなく、それをきっかけにますます相手を深く知る感じですよね。
しかも、お互いに会話は英語ということで、母国語ではないんですよね。
そこもまた、事を進めにくい要因なのかなと。
いくら堪能でも、母国語以上のニュアンス伝えにくいですよね、多分。(私は日本語しかしゃべれないから、わかりませんけど)
そうやって少しずつ、距離を縮めてきた二人なんですが、体をつなげようとしたところで、重大な問題に直面します。
その問題に関して、今まで気にもしなかったこと自体、私が"BLルール"にどっぷり浸かってたからなんでしょうけど、そこはちょっと重大なんですよねパウルにとっては。
それを牟田もわかるからこそ、それを尊重しようとして誤解を招く結果になるんですが。

作者のいつき朔夜さんはドイツに住んでいたことがあるとあとがきにあって、妙に納得でした。
文章の端々にちりばめられてる空気感が違いますよね。
季節の話や料理の話、旅行では味わえない日常を知っていないと書けない部分が多いですから。
そして、逆に外国生活をしたからこそ、日本を外から見れるんですよね。
そこもまた、新鮮でした。

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