2009年06月07日

虜囚 プリズナー:華藤えれな


華藤 えれな
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Amazonおすすめ度:




※未読の方にはネタバレです、お気をつけください。


<あらすじ>
「奇跡がおきて再開できたら、その時は・・・・その手でオレを殺して」
成瀬琉加と鷹崎航太は恋人同士だったが、ある事情から琉加は航太の前から突然姿を消す。
そして10年後。
マフィアに身を堕とした琉加は家族を守るため組織を裏切り、命懸けで麻薬取締官「F」と連絡をとろうと画策していた。
そんな折、琉加は航太と再開する。危険な雰囲気を漂わせる航太は、10年間琉加への復讐だけを糧に生きてきたという。以前の優しさは翳をひそめ憎しみを向けてくる航太に琉加は・・・


お友達ブロガーさんから私の苦手系かも、と聞いてて、どうかなあと思いしばらく静観。
確かにああいう暴力的なのは得意じゃないんだけど、それを凌駕するほどの萌え!
カラー口絵を見た瞬間、即決いたしました、読もうと!
タトゥーは萌える♪
・・・しかしまあ、次から次へと萌えを見つけるなあ私(笑)


やっぱり私は、華藤さんのこういう湿度の高い濃厚ラテンエロスが大好きだ!
和テイストの、しっとり激エロ(笑)もいいんだけど、日本的”恥じらい”というもののないあの奔放さというか、お互いがお互いを喰い尽くしてしまうようなエロにめろめろだよ。

昼メロ並の泥沼な不幸の連続で、解けない誤解がますます状況を悪化させ、再会モノとくくるには、ちょっとドロドロなんですよね。
高校時代、航太は大病院の一人息子、琉加はコロンビアからの出稼ぎ家族の一員、全く違う境遇の二人が同じ学校で出会い、琉加のピアノの音色がふたりを結びつけるのだけど、そこからが不幸の連続。
琉加は、麻薬の売買に家族で関わっていたということで、強制送還。
航太は、家族を殺され、すべてを奪われてしまう。
本人たちの思いとは全く別のところで、誰かの思惑が働いてて、そこからすべてが狂ってしまったんだと思う。
琉加と航太と、彼らの家族と、そして、このしかけを生み出した人物の人生、すべてが。

航太は、すべてを失った日からずっと琉加を憎んで恨んで殺したいとずっとそんな思いを抱えていたわけだけど、10年ぶりの再会に航太が琉加にぶつける感情は、それとはどこかが違う気がする。
航太が、琉加を抱きながら罵る言葉の端々に、相手を責めるような含みを感じてしまう。
マフィアの愛人に身を落とし、あの頃の面影をなくしつつある琉加にたいして怒りを覚えてる。
殺してやるって言ってるけど、変わってしまったことが許せないって風に見える、なぜか。
やっぱり憎いと愛しいは、同時に成立する感情なのかなと。
殺されること、殺すこと、それだけを胸に生きてきた二人なのに、再会してすぐにしたのがセックス。
死に向かうべき感情を持ってるのに、どうして生きてることを確認するみたいな行為してるんだろうって。

その根底にあるのは、相手に対する感情以外に、家族への愛なんだよね、お互い。
その揺るぎない思いがあるからこそ、生きてるし、死んでもいいと思ってる。
そして、どうしたって、自分の中にある一番美しい思い出だけは、穢されることなくあるつづけるもの。
戻ることは叶わないくらいに、取り巻く環境も自分自身も相手も、何もかもが変わり過ぎてて、たとえ取り戻せなくても、でもお互いの胸に同じように大事な思い出として残っている。だからこそ、今があるわけで。
でも、そうやって、何人たりとも侵すことの出来ない気持ちを、あの人は本当に憎んでいるんだろうね。
とくに、母の愛というものを、絶対に信じることができない。
航太の母の行為も、琉加の母の行為も、全然違うけれど、子を思う母の気持ちであることは間違いない。
でも、それを向けられることもなく、捨てられて大切なものを失った、あの人を簡単に責めることはできないな、きっと。
自分が持ちえないものすべてを持ってる琉加を、心底嫌悪する彼の気持ちは、否定できないんだけど、でも読んでてきつかったのも確か。
肉体的にも精神的にも、痛いのはやはり得意ではない。
でも、あの人が抱える闇は、こんなものじゃない、もっと深くて底なしで、終わりなんてみいだせないのかもしれない。

ラスト、まるで二時間ドラマの崖っぷちに立たされた犯人のごとく、真相を暴露した彼ですが・・・。
あんなドラマチックな最後を迎えたわけだけど、私はこの人たちがあっさり死ぬなんてどうしても納得できない。
あの執念深い人が、あんなに潔い終わりを選ぶとは思えないんだよね。
すっかり面変わりして、再び登場となっても、全然驚かない気がする。

この作品、ナゾっていうか、秘密が二つあるんですが、航太の秘密は伏線がわかりやすくて、早々にわかってしまう(あらすじだけでそれは読めた)んですが、染井の秘密はちょっとヤラれた。
やっぱり、染井というキャラは、最初から最後まで、美味しいところ持って行き過ぎだなあ・・・。
たとえ、登場シーンが、携帯で話しながら実はここにいるよ〜的などっきりばっかりでもね。
・・・あれは、カップルでやってください!

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