2009年03月23日

スロウライフ:谷崎泉


谷崎 泉
Amazonランキング:556376位
Amazonおすすめ度:



<あらすじ>
『お前とは別れる!!』人目を引く華やかな容貌とうらはらに、短気で情の深い五十鈴は、恋人の鴇と出会ってからの十数年間、喧嘩のたびに別れを突き付けてきた。糸の切れた凧のような鴇を相手にかんしゃくを起こしては、一瞬で元の鞘に戻るいつもの痴話喧嘩だったハズなのに、今回はどうやらひと味違うようで…。周囲を巻き込み、思わぬ大騒動に発展した二人の喧嘩の行く末は…。
映画監督×公務員モノ


どたばたラブコメ・・・とみせかけて、実は結構な愛のある物語だったような気がするんですけど。




実は数年前に一度挫折してました(笑)
最初10ページも読まないうちに、「うわっ、ダメっ」って。
・・・うん、私は鴇がダメだったんです。
あのダメさ加減がもう、私的に我慢ならんかんじで・・・。
それもあって、すっかり積読に紛れ込ませてたんですが、最近は自分の萌えも変わってきたし、気分的にエロ一辺倒な作品が読みたかったわけでもなかったので、再び手に取りました。
そしたら、なんかすごくいいな〜って、思えました。
・・・本は、読むタイミングが大事ですね。

五十鈴と鴇、幼いときからの幼なじみであり、恋人同士、そして今は同じ家に住む関係。
できあがったカップルのお話です。
五十鈴は、区役所務めの公務員。
鴇は、カンヌの候補に上がるような、ちょっとマニアックな映画監督。
とにかく短気、そして几帳面、でも情だけは深い五十鈴と、とにかくいいかげんで、一般常識が備わってなくて、糸の切れたタコみたいな鴇。
育ちも違えば、考え方も性格も、仕事だって、まったく違う二人。
お互い生き方のベクトルは真反対向いてるんだと思う。
なのに、この二人は、お互いを選んでるんですよね。
なんでとか、どうしてとか、思うんですけど理由は多分、鴇だから、五十鈴だから、って答えなんじゃないかな。
それくらい、一緒にいることが普通。
そして、喧嘩の度に別れ話になって、鴇が行方不明になるのも、普通・・・なんだろうね、この二人にとっては。
その日常が、カンヌの一言で崩れてしまう。
あたりまえのように二人でいた毎日に、非日常が紛れ込んでくるんでくる。
いまでいうパパラッチなのか、アレ・・・。
確かに世間一般でいえば、鴇と五十鈴の関係は普通じゃないのかもしれないけど、そのことによって、いままであった日常すべてがひっくりかえることに。
すべてが、普通じゃなくなる。
今までは、喧嘩はいつも五十鈴から、「別れる!」と一方的に告げて、鴇が帰ってくるのを待ってるような状態だったけれど、今回は鴇から別れを告げられることに。
ごたごたで仕事左遷された五十鈴のために、って、あの鴇が一生懸命に考え出したのが、ソレ。
毎日同じように出勤して、毎日単調な事務をこなして、毎日同じ時間までに帰宅する、そんな同じような毎日をくり返すことを希望してる五十鈴。
そんな彼の幸せのためには、自分がいないほうがいいなんて、鴇は考える。
でも、五十鈴は毎日のくりかえしより、なにより鴇がいなくちゃダメなんですよね・・・。

鴇が映画監督を目指した理由って、明確には鴇が語ることはないんですが、結局は五十鈴のためなんですよね。
鴇自身が、五十鈴のためにって決めて、選んだ仕事っていうのが、重要で。
しかも、全くの映画音痴の五十鈴には、鴇の作品の良さは上手く伝わらない。
でも、鴇が造り出した作品の、場面場面に、五十鈴はすごく感動してる。
お互いにそれを直接言うことはないけど、気持ちとしては相手に伝わってる。
そんなところに愛を感じてました。

しかし、クロスノベルズらしく、今は入手困難かと・・・。

posted by 棗 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | BL(小説)>谷崎泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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